熊 新美南吉

 今日は、新美南吉の「熊」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 北海道の、おおきな熊のことを書いた詩です。雄大さと寂しさの同居した生のありさまが描かれます。なんだか不思議な詩でした。
   

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雪の化石1 中谷宇吉郎

 今日は、中谷宇吉郎の「雪の化石1」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 科学の知識で、雪の結晶を化石にすることはできるかどうか、このことについて考えた、ごく短い随筆でした。具体的には、このような方法を記していました。
quomark03 - 雪の化石1 中谷宇吉郎
  零度以下でも凍らず、水も溶かさぬ液体の中に結晶を浸しておいて、低温のままでこの液を固める方法があれば、望みの雪の化石が出来るはずである。コロホニウムをクロロフォルムに溶かした液はかなりこの目的に適うが、その化石では未だ一週間位しか持たない。quomark end - 雪の化石1 中谷宇吉郎
 
 本物の化石のように、何百年も持ちつづける、雪の化石を作って、暖国の子どもたちに見せてみたい、という夢を語る科学者の中谷宇吉郎のすてきな随筆でした。
  

0000 - 雪の化石1 中谷宇吉郎

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細雪(35)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その35を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ようやく水難の危機が退いてきたのでした。本文こうです。
quomark03 - 細雪(35)谷崎潤一郎
  雨のあとでひとしお青々としている庭の芝生の上に、白いちょうが二匹舞っており、ライラックと栴檀せんだんの樹の間の、雑草の中の水溜みずたまりにはとが降りて何かをあさり歩いているquomark end - 細雪(35)谷崎潤一郎
 
 それから、被害がどの程度であったかが、記されてゆくのでした。電車もバスもタクシーも徒歩も使って、泥だらけになって食料を調達してきた人が描かれ、それから子どもの悦子が学校からぶじ帰って来たり、風説に惑ったり、地下で被害が出たり、場所によってはなんの水害もなく美しいままの状態であったり、と妙な光景も描かれるのでした。
 妙子を救いに行ったはずの貞之助は前回、この物語にしてはめずらしく雄雄しい姿で出かけていったのに、なぜか貞之助が帰ってこない。どうもこの細雪は、四姉妹の女性だけが主人公で、戦時中における男が不在の世界を描いているんだなあと、思いました。隣家のシュトルツ婦人も、夫が帰ってこないままなので惑っています。
 それから奥畑がやってきて、恋人の妙子が見つからないということで、これを心配しているんですが、どうもこの状況を利用して、四姉妹に取り入ろうとしているのではないかというように警戒されているのでした。なんとも妙なことを書くもんだなあと思いました。
 幸子は、夫や妹がまだ帰ってこないので不安になっているんです。次回に続きます。
 

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当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。『中巻三十五』は通し番号で『六十四』と表記しています。
 
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)
 
 

たましいは生きている 小川未明

 今日は、小川未明の「たましいは生きている」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
  今回、小川未明は戦時中の家族を描きながら、徒然草や自然界の音の美しさについて記すのでした。「なにより平和を愛し」ている若者に、召集令状が届いて戦死してしまった。遺品となったハーモニカを手に妹は、彼がどのように生きたかを述べるのでした。
   

0000 - たましいは生きている 小川未明

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打あけ話 宮本百合子

 今日は、宮本百合子の「打あけ話」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 宮本百合子が百年前のモスクワを旅していて、そこであるクラブの集会に出かけて、ぐうぜんにも日本から来た女性と言うことで、スピーチを頼まれてしまった。まだうまく話せない段階で、なんとか話してみた。意外と意図は通じた。本文こうです。
quomark03 - 打あけ話 宮本百合子
  これは小さい経験であるが私には教訓となった。自分に分って貰おうと思う誠意と話したいことがあり、聴衆を信ずれば、人前で話すことも恐くはない。そういうことが会得された。それ以来、必要な時には、私は聴衆がそこに来ている心持の或る面と自分の心持の或る面との接触を信じて講演をするようになった。quomark end - 打あけ話 宮本百合子
 
 近代の貧困の考察と、作家たちが自由を得つつある時代の変化について記していました。すてきな随筆でした。
 

0000 - 打あけ話 宮本百合子

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学問のすすめ(6)福沢諭吉

 今日は、福沢諭吉の「学問のすすめ」その6を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 原初の政府とはどういうものなのか、今回はこれを福沢諭吉が論じています。福沢はたびたび、犯罪者と刑法について書いています。政府の活動の中心は「犯罪者をとりしまる」ことだというんです。ふつう、現代政府というと、市役所に住所変更の申告に行くくらいのもので、あまり政府と刑務所とは関係が無さそうに思えるんですが、福沢の本を読んでいると、たしかに、政治のやることの中心には、犯罪の抑制をするところにあるように思えてきます。国民が個人的に、賊に体罰を与えることは許されない。政府だけにこの権能がある。かってに裁判したり、かってに裁いたりしたらいけない、というのが法治国家の中心にある。犯罪については政府に任せる……。危ないときには正当防衛がありえるんですが、それ以外では、犯罪者にたいして行動しない、ということを子どもにもわかりやすいように、福沢諭吉が説いています。すっごい悪人を、蹴ったりしたらダメである、ということを難しい言葉で記しています。
 今回の福沢の訓示を読んでいて、これはほんとに、近代と現代の日本人の特徴がよく現れているなと、なんとも納得がゆきました。
 戦国時代や江戸時代だと「仇討ち」というのが日本の伝統だったと思うんですが、明治大正昭和現代では、これと大いに異なる「自分からは手を出さないで、犯罪については政府を信任する」という思潮が発展したんだなと思いました。
 こんかいは、忠臣蔵の騒動について、批判的に記していました。それから士農工商の格差によって殺人が認可されていたことも厳しく否定していました。政治内の政敵の問題についても論じています。天誅の非論理性についても書いています。問題があるのなら、訴えて論じるべし、というように勧めていました。
 中世近代から現代社会への変化の要点について書いている、と思いました。今回の第6章はかなり興味深い内容なのでお薦めの章に思いました。
 また大学の運営について、政府の杓子定規な規制がはいっていて、これについて「政府に従いつつ、政府について主体的に論じよ」ということを実践したことを、福沢諭吉は記していて、現代とあまり変わらない問題が書いてあるように思いました。
 

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★ 『学問のすすめ』第一編(初編)から第一七編まで全文を通読する