道 織田作之助

 今日は、織田作之助の「道」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 佐伯という男がずっと陰気に生きていたのにも関わらず、ほんの6年ほどで見ちがえるほど生き生きとした男に変身してしまった。その謎を追う……小説でした。
 

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 
追記  

※以下は物語の結末を含みます。クリックで表示されます。

 道ばたで頽れていた瀕死の犬が、生きようとしてもがいていて、その姿をまのあたりにした時に、生きる気力が湧いてきた、というエピソードが印象に残りました。
 「佐伯」がいぜん住んでいたところは「湿気の多いじめじめした部屋であった。日の射さないせいもあろう。年中敷きっぱなした蒲団をめくると、青い黴がべったりと畳にへばりついていた」というのですが、これではいくら努力しても、不幸が去ることは無いのではと思える酷い環境なのでした。そこから脱してはじめて、仕事や生活が安定したということが書いてある小説でした。環境が人をつくる、というのは現代でもそうなのでは、と思いました。

蛇 森鴎外

 今日は、森鴎外の「蛇」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 貧しい人たちに資金を援助する活動をしていた穂積家の、その息子と結婚をした「お豊」がなぜか、おかしくなってしまった。その謎を追う物語でした。
 

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 
※ 本作品の一部には、今日的には不適切と考えられる表現が含まれておりますが、作品自体の歴史的な価値を尊重し、原文のまま収録しています。
 
追記  穂積家では食事のさいに、ご近所のちょっといい話しをすることが習慣になっていたのですが、これをどうしてもがまん出来ない「お豊」が嫁入りをして、どうも穂積家は困ってしまいます。

※以下は物語の結末を含みます。クリックで表示されます。

 すべての偽善が嫌いで、とにかく権力が嫌いだ、ということを述べていた「お豊」との交流がむずかしくなって「穂積家は沈黙の家になった」のですが、暗くなった家でやがて義父や義母が亡くなって……「奥さんが線香を上げに、仏壇を覗かれますと、大きな蛇のとぐろを巻いていましたのが、鎌首を上げて、じっと奥さんのお顔を見たそうでございます。きゃっと云って倒れておしまいになりましたが、それから只今のようにおなりになりました」ということで、「お豊」はずっと意味の不明なひとりごとを言いつづけてしまうようになったのでした。蛇はたんに仏壇の隙間が気に入って、居着いてしまうようになっただけなのですが、死者の怨みが蛇を呼びよせてしまったと誤認してしまった「お豊」とその周辺の男たちの物語でした。作中で話されていたように、家庭内で殴ってでも言うことを聞かせようとしたらもっともっと酷いことになったと思うのですが、なにかもっとうまい方法でものごとを進める必要があったように、思いました。
 内容がよく理解できなかった方は、以下の要約版を読み終えてから、あらためて鴎外の全文を通読すると、ほとんど全て理解できると思います。
 
「蛇」要約版  森鴎外
 
 ある夏の夜、私は旅先の家の縁側に座っていた。蚊がうるさく飛んでくる。奥の方から、女の人が早口でずっとしゃべっている声が聞こえる。相手の声は全然聞こえない。一人でしゃべっているようだ。
 そこへこの家のお爺さんが出てきた。私が「あの女の人は誰だね」と聞くと、奉公人のお爺さんは話し始めた。
 この家は昔からの豪農で、今はご主人と奥さんと、お爺さんの三人暮らしだ。先代の奥さん、つまりご主人のお母さんが、先日亡くなった。そのお母さんはとても優しい人だった。ところが、ご主人夫婦はうまくいっていない。
 奥さんは「本当の善人なんていない。善いことをする人はみんな偽善者だ」と言って、家族の話し合いのときに聞く善行の話をひどく嫌った。それ以来、家の中は静かになり、ご主人はだんだん沈んでいった。
 そして、お母さんが亡くなって七日目の夜、奥さんが仏壇をのぞくと、中に大きな蛇がとぐろを巻いていた。奥さんは悲鳴を上げて倒れ、それから気がふれてしまい、毎晩ひとりでしゃべり続けるようになった。
 お爺さんは「蛇は一度外へ捨てても、また戻ってくるのです」と言う。私は「それは不思議なことではない。動物は一度住んだ所に帰る習性があるからだ」と教えてやった。
 そこへご主人が現れて、「私には確固たる信念がない。だから妻を離別もできず、母を寂しい思いで死なせてしまった」と悲しんだ。
 私は「赤ん坊は理性が未発達だから、危ない火でもつかむ。大人と同じ扱いはできない。お豊も同じで、自分の欲望のままに行動すると自分を破滅させる。理性で抑えるべきだ」と話した。
 話が終わった後、私は仏壇に行って蛇を見た。確かに青大将がいた。
「これは私がもらっていく。米蔵から出てきたのだろう。外へ捨てても、また戻ってくる。なんの不思議もない」
 そう言って、私は素手で蛇をつかまえ、かごに入れた。翌朝、私は穂積千足さんに「病気については誰か信頼できる専門家に相談をしたほうが良い」と勧めて、その家を後にした。

(※この要約版は、AIが出力したものを人間が書き換えて、訂正しました。)

月世界跋渉記 江見水蔭

 今日は、江見水蔭の「月世界跋渉記」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ……これは明治時代に発表された、純粋なSF小説で、すこし奇妙な作品でした。月世界での事故と異変と脱出について記したSFです。「空気孔」を発見したために生存と調査が可能になった宇宙の隊員たちが描きだされます。海底探検と月世界探検が合体したような、古風なSF小説でした。

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追記  科学上の間違いが堂々と描いてあって、それを現代の知識で調べてゆけますし、エンタ作品としてもじゅうぶん今よめる小説だなと思いました。
 明治時代に、日本SF小説が実在していたとは衝撃だ、と思う、なんだかレアな作品でした。

生爪を剥ぐ 葉山嘉樹

 今日は、葉山嘉樹の「生爪を剥ぐ」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。 
 古典と比較してみて、近代小説の特徴は、自然が壊れた場に居る人間が描かれるようになった、と聞いたことがあるのですが、この作品はまさにこの近代化に見舞われた、暗い世界が描きだされていました。「健康を失って」いる「薄暗い陰気な」「地獄」のような「運河の汚ない濁った溜水にその向うの大きな工場」といった環境に囲まれた「プロレタリアの群居街」で労働者が「総崩れにな」って生活苦にあえぎ、家族の繁栄を願うことが困難になっているところが描きだされます。しかしながら幼子も、労働者の「僕」も盛んに動き回って次のところへ向かおうとしている、近代の熱気を活写した文学作品に思いました。
  

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不思議な国の話 室生犀星

 今日は、室生犀星の「不思議な国の話」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは静謐な怪談で……山の上にある「青い古い池」で、不思議なことをしてしまう「娘」と、蛇と蛙の、日本的な異変を描きだした物語です。
 

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追記  青い池と赤い蛙のことが怪しく描きだされます。娘の消失と、生類への憐れみがみごとに混じりあった怪談の名作、という印象でした。

火星旅行 スタンリイ・G・ワインバウム

 今日は、スタンリイ・G・ワインバウムの「火星旅行」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは100年ほど前にしてはリアルな宇宙を探検する小説なんですが、なぜか火星で呼吸が出来たり、大きな生きものが居たりして、科学上はありえないことがいろいろ書いてある、レトロフューチャーなSF小説です。アメリカのSF雑誌『ワンダー・ストーリーズ』1934年7月号に掲載されたものです。
 

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追記  火星の知的な鳥「トウィール」との交流や、50万年ほどかけて作られているピラミッド怪獣、幻視の美女に変身する縄の怪獣、地球に持ち帰るべき特効薬の秘宝といった、謎の存在がさまざまに立ち現れました。1934年にもしこれを読んだら、すごい、と驚いたんだろうなあ……………………と思いました。