サセックスの吸血鬼 コナン・ドイル

 今日は、コナン・ドイルの「サセックスの吸血鬼」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 「事実は小説よりも奇なり」という言葉があるんですけど、コナンドイルの魅力は、探偵が謎を解いてゆく過程で、まったくの荒唐無稽に思えたことが、現実としっかり地続きであって、途轍もない怪異も事実に繋がりうる、ということを物語の中で巧妙に描ききるところにあると思います。
 善良に見える人がなぜか不気味なことを行ったまま、そのことについて沈黙してしまった。それには理由があって……。ネタバレになるのでつづきは本編をご覧ください。
 ところで「事実は小説よりも奇なり」という言葉は、バイロンの長詩が原典なのだそうです。
 

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※この翻訳は「クリエイティブ・コモンズ 表示 2.1 日本 ライセンス」によって公開されています。詳細は本文末尾の底本をご覧ください。

ロボットとベッドの重量 直木三十五

 今日は、直木三十五の「ロボットとベッドの重量」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 人工知能は、基本的には紡績機械の出現と同じで、人々の暮らしをどちらかといえば豊かにしてゆくと思うし、そういう実績が多く現れてきているんですけど……。
 直木三十五は、人間そっくりなロボットが工場で働いたり、家で家族の面倒をみたりする、そういう近未来を描きだしています。機械による事故、機械によって実現した大規模な戦争というのを連想しました。労働機械が現れた数百年前に、仕事の無くなることが危惧されたんですけど、じっさいには大岩を手だけで運ぶとか、水を桶だけで運ぶとか、手紙を足だけで運ぶというような仕事が無くなっていっただけで、機械を操作する仕事は増えていったわけで、人工知能でもたぶんそれに似たことが起きるように思われます。煩雑すぎるデスクワークが減って、管理とか観察とか表現をする仕事が増える、ように思います。
 直木三十五は作中に、ただの思いつきのようなセリフとして、こう書いていました。
quomark03 - ロボットとベッドの重量 直木三十五
 「ロボットを政府事業にして、一切の生産は、こいつにやらせるんだね。人間は、だから懐手をしていて、分配だけを受ける。」quomark end - ロボットとベッドの重量 直木三十五
 
 機械が労働のほとんどを受け持って、だれもがベーシックインカムを受け取れるというような、とてつもなく遠い未来のことを直木三十五がちょっと考えていたのかもしれないと思いました。じっさいの二十世紀では、産業機械の発達によって、座ったままで仕事をしていて機械を操作するという仕事につく人たちがとても多くなっていったのだと思いました。
 

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風呂桶 徳田秋声

 今日は、徳田秋声の「風呂桶」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 自分の冴えない性格のことを内省するときに、老父の姿を思い浮かべるシーンがあるんですけど、ちょっとした仇討ちの場面からさいごの1行までの数ページに、異様な迫力があって、やっぱり百年残る小説は違うなあ、と思いました。滑稽さと深刻さが二重写しになっている場面が、印象深かったです……。
 

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猿 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「猿」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ぼくはこれを今回はじめて読みました。怪談というわけでもないのに、人間を獲物に見立てた恐ろしい心情が書き記されていったり、賽の河原のごとき刑罰が描かれて、芥川龍之介は、悪い考えを明確に描くんです。後半になって広がった風呂敷が畳まれてゆくにしたがい、個人的な倫理性が立ち現れてくるのがすごかったです。作中にすこし記されているんですけど今作はドストエフスキーの諸作がアイディアの源泉にあるようです。
 

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空気男 海野十三

 今日は、海野十三の「空気男」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはスラップスティックコメディーみたいな空想科学小説なんです。ピカソのキュビズム絵画の右上部分みたいな、オチの無い描きっぱなしの展開があって、これを海野十三は、別名義で書いているんです。投げやりな感じがかえって文体を個性的にしているように思いました。
 

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一過程 島木健作

 今日は、島木健作の「一過程」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは近代の、貧しい農民たちが選挙と地域政治に取り組む物語です。落選後の活動、というふつう見ることの出来ない場面から描かれてゆくのが印象深かったです。
 少数派は多数決で勝てない、けれども少数派は正しい政治によって不平等な条件を撤廃に持ちこむ必要がある、という不合理があると思うんです。そこで近代文学者の島木健作はどういうことを書いたのか、というのが興味深かったです。マイノリティーと政治の物語というと、ぼくはジョン・ルイスの『MARCH』という作品が好きで、これは十代向けのCOMICの形式で描かれた書物なんですけれども、二十世紀の黒人は具体的にどのような迫害を受けていてどのように政治運動を成功させたのか、史実の負の側面をどう描いて伝えてゆくのか、その表現方法に関心を持ちました。美談に終わらせないんですけど、マルコムXとキング牧師の晩期を慎重に割愛する、という表現もあって、一巻の終盤が見事だったのと、中盤で描かれてゆくオバマ大統領との描写と、最終巻の物語の帰結の持って行き方に感心しました。
 島木健作は、挫折を描きだすんです。現実的な描写に驚く物語なんです。社会運動の物語と言うよりもジョージオーウェルのディストピア小説「1984」に近いところがありました。「一過程」は1935年に書かれたもので、現実にも当時の作家はつねに発禁と隣りあわせで、当時の特高からの迫害をまぬかれて戦争の終わる日を迎えることはとても困難な十年間だったように思いました。この小説は後半で意外な展開があるんです。それから終盤の描写がみごとでした……。
 

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