失われた半身 豊島与志雄

 今日は、豊島与志雄の「失われた半身」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 戦争が終わったあとの平和の時間を描いているのですが、そこで学徒出陣して帰ってきた「おれ」には、奇妙な感覚がある。どうも時間感覚や他人の存在感が、ねじれているようである。主人公の奇妙さに、興味を引かれるんです。喫茶店でコーヒーにウイスキーを混ぜてもらったりしている。
 戦時中にこの男はどのような経験をしてそれについてどう考えているのかが記されてゆく。失われた半身という題名の意味が、後半に明かされてゆきます。戦後すぐの「底知れぬ深淵」のことを豊島与志雄が記します。
 

0000 - 失われた半身 豊島与志雄

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約3秒)
 

発明小僧 海野十三

 今日は、海野十三の「発明小僧」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 海野十三のアイディアは、ただの古いSFという感じでは無く、ほんとに五十数年後に実社会で実用化されて、コンビニとかで常設されていたりするので、この人のアイディアは、なんだかすごいなあと思いました。2050年にこうなってたら良いのになー、というアイディアを今だしてみて、じっさい実用化されることってなかなか無いと思うんです。ぼくは三十年くらい前に、たぶんコンピューターは文房具の下敷きくらい薄くて小さくなるはず、と思っていて、これがiPadで実現したときに、子供のころに未来予測を成功した、と思ったことがあります。予想外だったのは、ゲームが上手いとスポーツ選手のように賞金を獲得できる、というのは昔はぜったい無理な仕組みだと思いこんでいて、この予測は外れました。地球の裏側の人と対戦ゲームができるというのも、じっさいにやってみてラグもほとんど無いんですけど、未だにちょっと信じられないです。
 海野十三の「安全賭博器」を読んでいると、どうして損すると分かっていて仮想通貨に手を出してしまう人たちがいるのか、その理解できなかった感覚がなんとなく分かってくるもので、おもしろかったです。貨幣がうごめくと、そこにワンダーを感じてしまうのが賭博師の感覚のようです。
  

0000 - 発明小僧 海野十三

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約3秒)
 

ロマネスク 太宰治

 今日は、太宰治の「ロマネスク」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは太宰治にしては珍しく、日本昔話みたいな童話なんです。仙術で怪異が起きるのですけれども、かといって子供が喜ぶような物語でも無い。飄飄とした物語展開でした。三作品の連作です。第二話はピカレスク小説で、第三話でいろんなことが繋がってゆく……。
  

0000 - ロマネスク 太宰治

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約3秒)
 

あそび 森鴎外

 今日は、森鴎外の「あそび」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは官吏の日常を描いた、小説なんです。軍人でありながら、仕事とはべつに芸術をつくっていった森鴎外の、独特な眼差しがあるように思いました。木村という主人公も、公務員でありながら文学芸術をやっている。作中で、ヘルマンバールルーズベルトのことをちょっと論じていました。
 主人公の木村は「始終晴々としている」んです。おもしろいこともない場面で楽しんで暮らしている。べつに自他をあざむいているわけではない。なぜなのか。
 学校の暗記の勉強とかを楽しそうにやっている、煩雑な仕事をいつも笑いながらやっている人がじっさいに居ますけど、そういう人の心理状態が、森鴎外によって記されていて、なるほどと思うところがありました。
 

0000 - あそび 森鴎外

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約3秒)
 

老夫婦 黒島傳治

 今日は、黒島傳治の「老夫婦」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 黒島伝治の作品は、小説と言うよりも、ドキュメンタリーかなにかの実話を文章化したような構成で、リアルなんです。
 貧しい家の子供が、学問をやりたい、学資をもらいたいと頼んできている。両親は農業でけんめいに稼いでおり資金上は苦労が絶えないのですが、子供が学問に打ちこんでいることを嬉しく思っている。だがその清三が病に臥してしまった。そのあとなんとか卒業して東京の会社に就職することができ、結婚もした。老夫婦は田舎の仕事を畳んで、東京の息子のところで暮らすことにした。
 これまでの野良仕事を思いだして、狭いところで庭いじりをしたりする。これが本格的すぎて、肥を肥料にしたりする。庭がふんぷんと匂ってしまう。この老夫婦がなんだかおもしろい。冬が明けてやっと東京見物をする。ところが休日も息子は仕事関係の付き合いで忙しい。土埃の舞うような東京の都心の、猛烈な人だかりの中で、夫婦二人で物見遊山してもどうもぐったりするだけである。それでこの二人の考える、こういうほうが良い、自分の仕事ができる場が良い、というオチのところの思いが、ずいぶん腑に落ちました。
 

0000 - 老夫婦 黒島傳治

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約3秒)
 

途上 谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「途上」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 谷崎潤一郎といえばまんじがほんとにお薦めの作品なんですけど、「途上」はごく短い小説です。谷崎の文学は、できごとの詳細が異様であるにもかかわらず、なぜだかリアリティーがあって、その迫力におどろく、というのがあると思います。今回は探偵が登場して、事件の真相を語りはじめます。
 

0000 - 途上 谷崎潤一郎

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約3秒)