竹林生活 北原白秋

 今日は、北原白秋の「竹林生活」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ぼくはこの本を十年くらいまえに読んだのですが、ほとんど忘れてしまっていたのでもういちど読んでみました。
 関東の大震災のあとに、詩人の北原白秋が、その被害と心境を記しています。白秋自身がどのように被害にあったのか、そのことをこう記しています。
quomark03 - 竹林生活 北原白秋
 あの時、私は頭上に微傷こそ負つたが、幸に命はあつた。私の妻子も辛うじて逃れて恙は無かつた。ともに私たちは奇運を得た。私の家は大破はしたが、不思議に倒壊を免れ得た。quomark end - 竹林生活 北原白秋
 
 小田原のほとんどの家は倒壊したのです。それから避難先の竹林での生活がはじまります。人々の感じていた恐怖心と、武装した集団のことも描かれてゆきます。そのあとで、北原白秋は、自然界を丁寧に描写してゆくんです。この自然を描きだすところ、「私たちははじめて」……という記述の前後がとても印象深かったです。苦難のあとにこそ詩の眼差しが必要である、と思いました。ところで本文とそれほど関連性は無いのですが、アドルノが指摘した、詩と文化の野蛮さについての問題は、このページの随筆が分かりやすかったです。
 

0000 - 竹林生活 北原白秋

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追記
アクセス数の少ない読書サイトでリンクを貼ってもあまり意味は無いと思うんですが、今年もyahoo!Japanで【3.11】と検索すると少額が募金されます。

古典からの新しい泉 宮本百合子

 今日は、宮本百合子の「古典からの新しい泉」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
これは1940年に書かれた文学論なのですけれども、このころに歴史的な作品を書いたのは、太宰治と坂口安吾と永井荷風だろうと思いながら、宮本百合子の随筆を読んでみました。この四人の作家は、当時どのように古典を読んだのだろうと思いました。太宰は聖書を何度も読んでいたように思います。宮本百合子はこんかい昭和15年と書かずに、西暦で書くんですよ。古典、という言葉も世界文学としての古典、という意味なのだろうと思いました。
 

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顔の美について 伊丹万作

 今日は、伊丹万作の「顔の美について」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 岸田劉生の晩年の顔がすごいんだ、という話しからはじまり、人間の美を論じてゆくのですけれども、岸田劉生の絵画と見合わせながら読んでゆくと、なるほどと納得のゆく話でした。左右対称で均整のとれた顔が美しいというような話しでは無く、「どんなに醜くても醜いなりの調和」をもつ、生まれながらの顔つきについて論じています。
 シミやシワというのが美を損なわせるのでは無くて、人工的な加工によって醜さが出現してしまう……。デザイン論として読むとかなりギョッとする内容で、もっと伊丹万作の美学論を読んでみたい、と思いました。さがしたらいろんな随筆が見つかると思うんです。
 

0000 - 顔の美について 伊丹万作

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晶子詩篇全集拾遺(54)

 今日は、与謝野晶子の「晶子詩篇全集拾遺」その(54)を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 与謝野晶子の詩集には、恋愛と、自然界と、母子のことがおもに描かれてきたと思うのですが、今回は先生としての与謝野晶子が前面にあらわれてくる、祝辞の詩でした。2018年まで運営されていた文化学院の創設に深く関わっていたのが与謝野晶子と夫の鉄幹なのでした。この学校のことはwikipediaに詳しく書いていました。与謝野晶子たちが文化学院で教えていた芸術と記録は、今は長野のルヴァン美術館というところにいくつか収蔵されている、らしいです。はじめて知りました。
 

0000 - 晶子詩篇全集拾遺(54)

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猫先生の弁 豊島与志雄

 今日は、豊島与志雄の「猫先生の弁」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 豊島与志雄というとヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」を翻訳したことがもっとも有名な成果だと思うんですけど、けっこう随筆と小説を書いていて、ぼくはそれがなにか好きなんです。
 いまペットの犬というと、室内で暮らしていることが大半だと思うんですけど、半世紀以上前の随筆なので、野良犬や野良猫の話しみたいになっています。漱石の時代の文士には、猫が人気だったろうなあ、野良猫は強いし自由だし清潔好きだし、文芸をやる人間にとっては魅力的な存在だったのだろうと思いました。
 

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言葉の魅力 岸田國士

 今日は、岸田國士の「言葉の魅力」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 話し言葉について、劇作家の岸田國士が論じています。どうも無味乾燥な言葉づかいになってしまう、これをどうしたらいいかと、いうので岸田國士はこう記します。
quomark03 - 言葉の魅力 岸田國士
 めいめいが自分の「生活」をもつことから始め、読書によつて語彙をできるだけ豊富に蓄へ、その上傑れた文学に親しんで、いはゆる「語感」を十分に呑込んでおくことが肝腎である。quomark end - 言葉の魅力 岸田國士
 
「言葉は表情のようなもの」で、会話を通してあらわれてくるその美しさと魅力について書いてありました……。wikipediaに岸田氏は「1940年から1942年まで大政翼賛会文化部長を務め、太平洋戦争後の1947年にGHQにより公職追放となる」と記されていました。戦後どういうようにものを考えていったのか、もうすこし多くの随筆を読んでみたいと思いました。
 

0000 - 言葉の魅力 岸田國士

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