犬 島崎藤村

 今日は、島崎藤村の「犬」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 島崎藤村といえば、社会的な問題を描きだした「破戒」の作者で、偉大な文学者だと思うのです。さいしょの作品として「若菜集」という瑞々しく耽美的な詩集も書いていてとにかくかっこいいし、さまざまな魅力を持つ作家なんですけど、この随筆的作品を読むと、ナルキッソスのかいまみた犬と男女の世界のようで、なんだかおもしろかったです。本文こうです。
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 私には人に愛せらるゝ性質があつた、人の心を引くに足るだけの容貌もあつた。自分で言ふもなものではあるが、私はよく手入れをした髪と、たかい筋の通つた鼻と、浅黒くはあるがしかしきめこまか光沢つやのある皮膚とを持つて居た。のみならず、いかにせば斯の容貌を用ふべきかといふことをも知つて居た。私には又、若々しさがあつた。力があつた。quomark end - 犬 島崎藤村
 

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晶子詩篇全集拾遺(58)

 今日は、与謝野晶子の「晶子詩篇全集拾遺」その(58)を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 今回の詩に描かれた男を、漫画家が描いたら、すこぶる個性的なキャラクターになるのではと思いました。マグリットの絵にあるような、不思議な気配のただよう詩でした。

0000 - 晶子詩篇全集拾遺(58)

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寺田先生の追憶 中谷宇吉郎

 今日は、中谷宇吉郎の「寺田先生の追憶」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 物理学者の寺田寅彦が書いた「カメラをさげて」という随筆や映画のはなしがぼくは好きなのですが、その寺田寅彦のことを、雪の研究で有名な科学者の中谷宇吉郎が記しています。
 寺田先生との思い出を細部まで丁寧に記していて、二人のそれぞれの研究生活についてや、水素の爆発の問題について論じていて、百年後のいま読んでもとても新鮮で興味深かったです。もう亡くなっている人がこんなに生き生きと言葉と記憶を伝えていて、生きている自分のほうでは機械的な言葉くらいしか使えないというので、なんだか不思議な気分になる随筆でした。

0000 - 寺田先生の追憶 中谷宇吉郎

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竹林生活 北原白秋

 今日は、北原白秋の「竹林生活」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ぼくはこの本を十年くらいまえに読んだのですが、ほとんど忘れてしまっていたのでもういちど読んでみました。
 関東の大震災のあとに、詩人の北原白秋が、その被害と心境を記しています。白秋自身がどのように被害にあったのか、そのことをこう記しています。
quomark03 - 竹林生活 北原白秋
 あの時、私は頭上に微傷こそ負つたが、幸に命はあつた。私の妻子も辛うじて逃れて恙は無かつた。ともに私たちは奇運を得た。私の家は大破はしたが、不思議に倒壊を免れ得た。quomark end - 竹林生活 北原白秋
 
 小田原のほとんどの家は倒壊したのです。それから避難先の竹林での生活がはじまります。人々の感じていた恐怖心と、武装した集団のことも描かれてゆきます。そのあとで、北原白秋は、自然界を丁寧に描写してゆくんです。この自然を描きだすところ、「私たちははじめて」……という記述の前後がとても印象深かったです。苦難のあとにこそ詩の眼差しが必要である、と思いました。ところで本文とそれほど関連性は無いのですが、アドルノが指摘した、詩と文化の野蛮さについての問題は、このページの随筆が分かりやすかったです。
 

0000 - 竹林生活 北原白秋

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追記
アクセス数の少ない読書サイトでリンクを貼ってもあまり意味は無いと思うんですが、今年もyahoo!Japanで【3.11】と検索すると少額が募金されます。

古典からの新しい泉 宮本百合子

 今日は、宮本百合子の「古典からの新しい泉」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
これは1940年に書かれた文学論なのですけれども、このころに歴史的な作品を書いたのは、太宰治と坂口安吾と永井荷風だろうと思いながら、宮本百合子の随筆を読んでみました。この四人の作家は、当時どのように古典を読んだのだろうと思いました。太宰は聖書を何度も読んでいたように思います。宮本百合子はこんかい昭和15年と書かずに、西暦で書くんですよ。古典、という言葉も世界文学としての古典、という意味なのだろうと思いました。
 

0000 - 古典からの新しい泉 宮本百合子

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顔の美について 伊丹万作

 今日は、伊丹万作の「顔の美について」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 岸田劉生の晩年の顔がすごいんだ、という話しからはじまり、人間の美を論じてゆくのですけれども、岸田劉生の絵画と見合わせながら読んでゆくと、なるほどと納得のゆく話でした。左右対称で均整のとれた顔が美しいというような話しでは無く、「どんなに醜くても醜いなりの調和」をもつ、生まれながらの顔つきについて論じています。
 シミやシワというのが美を損なわせるのでは無くて、人工的な加工によって醜さが出現してしまう……。デザイン論として読むとかなりギョッとする内容で、もっと伊丹万作の美学論を読んでみたい、と思いました。さがしたらいろんな随筆が見つかると思うんです。
 

0000 - 顔の美について 伊丹万作

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