破壊 加藤一夫

 今日は、加藤一夫の「破壊」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは一頁の詩なのですが、ぼくにとっては難しい内容で、十八世紀のフランスで起きたような、正真正銘の革命、のようなものについて記しています。トルストイからの影響を強く受け、農業と思想とキリスト教について考えを深めた作家、なのだそうです。代表作は『土の叫び地の囁き』で、これはいちおうネットでも画像データで読むことが可能です。「生命は流れる水」という加藤一夫の詩の言葉に共感しました。
 

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(過程に興味が存するばかりです) 中原中也

 今日は、中原中也の「過程に興味が存するばかりです」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 中原中也の詩というと『山羊の歌』がもっとも有名だと思います。今回の詩は、ほんの一頁だけの作品で、なんだか哲学的でした。「砂山のパラドックス」とか「床屋のパラドックス」を連想しました。中也の本棚にはたぶん、こういうラッセル以降の哲学書はなかったはず、と思います。
 

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わが散文詩 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「わが散文詩」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは不思議な短編集で、六つの独立した掌編が並んでいます。筋のまったく無い、風景画か風刺画のようなごく短い作品なんです。「椎の木」という作品で芭蕉の文学性を論じています。季語を含む俳句の様式を借りて、この散文詩を書いたように思いました。
 芥川龍之介の文学論として、谷崎宛てのするどい文学批評に「話の筋というものが芸術的なものかどうか、非常に疑問だ」「筋の面白さが作品そのものの芸術的価値を強めるということはない」ということを述べているんです。句集や歌集には筋が無いわけで、筋の無い文学というのはそれはありえる、と思います。ただ芥川龍之介の著名な作品は、筋も重大になっているようにも思います。芥川が尊敬する夏目漱石の作品は、たしかに真ん中の章からいきなり読みはじめても、じゅうぶん読み応えがあるんです。いっぽうで谷崎作品は順々に読むとドラマが盛りあがってゆく。ただのストーリーものでは映画にならない、という話しをしていた映画監督のことを連想しました。
  

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あはれ今 ダンテ・アリギエリ

 今日は、ダンテ・アリギエリの「あはれ今」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは上田敏が翻訳した、ダンテの詩なんです。ほんの1ページほどなのですが、ダンテの『神曲』天堂篇とも深い関わりのある詩で、読み応えのある文学作品です。ダンテの描く愛はおもに、九歳の頃の出会いから一八歳のころの再会、そうして二十四歳まで生きたベアトリーチェへの思いで満たされていて、そこから詩作が行われている、らしいのです。記録だけを見ると、始まってもいないような恋愛関係なのですが、ダンテにとってはベアトリーチェは極めて重大な異性だった。そのことを作品に数多く書いている。いつかベアトリーチェのことを描いた『新生』も読んでみたいです……。
 

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小春 萩原朔太郎

 今日は、萩原朔太郎の「小春」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 萩原朔太郎というと詩集「月に吠える」と「青猫」が有名です。こんどまた再読をしてみたいと思います。
 この「小春」はごく短い一篇の詩なんです。「月に吠える」では自然界をこう描きだしていました。
quomark03 - 小春 萩原朔太郎
 地面の底のくらやみに、
うらうら草の茎が萌えそめ、
鼠の巣が萌えそめ、
巣にこんがらかつてゐる、
かずしれぬ髪の毛がふるえ出し、
冬至のころの、
さびしい病気の地面から、
ほそい青竹の根が生えそめ、
生えそめ、
それがじつにあはれふかくみえ、
けぶれるごとくに視え、
じつに、じつに、あはれふかげに視え。
………………quomark end - 小春 萩原朔太郎
 
 「小春」では、萩原の見いだした自然界に、私と羽虫とまだみえぬ麦が描きだされます。くわしくは本文をご覧ください。
 

0000 - 小春 萩原朔太郎

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記憶 萩原朔太郎

 今日は、萩原朔太郎の「記憶」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 記憶をたとえてみれば
 記憶は○○のようなもので……
 という萩原の詩の始まりを読んでいて、記憶をたとえてみるのか、という問いの立て方がもうすでに詩人だと思うんですけど、このあとの詩の第一連のおわりに「うれしさ」という言葉で締められていて……ふつう言葉はこのようにみごとに響きあったりしない、と思って、韻を踏んでいるとか韻律が整っているとみごとだと思うんですけど、それ以上に、萩原朔太郎の自由詩における意味の共鳴のさせかたに魅力を感じました。萩原朔太郎のこの詩に出てくるモノ……雪や汽車の窓や月というものを画家が順番に並べてゆくだけで、ずいぶん美しい絵画になっているように思いました。いったいじぶんが何に感心しているのか、説明がつかないんですけど、繰り返しちょっと読んでみて、短い詩の中でいろんな言葉がうまく相互作用しているように思いました。「○○のようなもの」ということを複数回積み重ねていたりするんです。和音みたいに。
  

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