今日は、海野十三の「第五氷河期」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
戦中戦後すぐの日本SF小説といえば、海野十三のほかほとんど居ないと思うんです。海野十三のSFはレトロな魅力と、おどろおどろしい表現と、戦時思想の影響と、自由な意思と、古い時代ならではの感性とが混じりあっていて奇異な物語となっていて、ぼくはとにかく好きなんですが、今回はある老博士が、地球上にとんでもない氷河期が来るという未来予測をだれよりもいち早く突き止めてしまった。博士は狂っているのか、あるいは地球の天候が狂っているのか……というレトロなSFなのに緊迫した状況が描きだされるのでした。
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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
ここからはネタバレなので、近日中に読み終える予定のかたは、本文を先に読むことをお勧めします。老博士は大金を使って、地熱エネルギーを応用してこの氷河期を防ぎ、新しいノアの箱船で人々を救おうとしているのでした。はたして氷河期は到来するのかどうか、終盤まで不明なまま物語が進行します。一挙に危機が訪れるのではなく、少しずつ異変が進行する描写が、リアルな問題を予見しているようで、みごとな小説に思いました。