花を持てる女 堀辰雄

 今日は、堀辰雄の「花を持てる女」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 堀辰雄が、父やおじの病について記しています。苦について書いているはずなのに、苦を増幅しないところが、ふだん読む文章とまるでちがっていて文学だと思いました。本文こうです。
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「雪の下がきれいに咲いたものですね、こんなのもめずらしい。……」私はその縁先きちかくに坐りながら、気やすげにそう言ってしまってから思わずはっとした。
目を患っているおじさんにはもうそれさえよく見えないでいるらしかった。しかし、おじさんは、花林かりんの卓のまえに向ったまま、思いのほか、上機嫌じょうきげんそうに答えた。
「うん、雪の下もそうなるときれいだろう。」quomark end - 花を持てる女 堀辰雄
 
 ほかにも、母の若いころのことをよくしらないので仕事はどういうものだったのだろうか、と空想を広げていて、谷崎潤一郎の「吉野葛」のようなことを考えていたりします、華やかなのかそうではないのか……。堀辰雄は、父だと思い込んでいた人が養父だった、という事態を丁寧に記しています。生老病死だけを書いているはずなのに、不安な気配のまったくないことに驚きました。みごとな自伝的小説でした。
 

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