学問のすすめ(4)福沢諭吉

 今日は、福沢諭吉の「学問のすすめ」その4を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 今回は、政府と知識人の良い関わりと、悪い関わりのことを書いていました。ほかにも権力を怖れてはならないとか、権力に媚びへつらってはならないとか、書いていました。
 前回、国が独立するには個々人が独立していないといけない、ということを説いていました。今回は、国力がつくには、人々が賢くなって学術や商売や法律をそれぞれ独立して個別に発展させないといけない、それにはどういう人が重要か、ということを書いているんです。福沢諭吉は「学術・商売・法律」が他国と比べて劣っている理由があるはずだと論じています。
 それはこれらのとくに学術や洋学を担う中心人物たちが、古い儒教の影響もあって、日本の権力に媚びへつらっていて権力から独立できておらずにひどい状態だからだ、というように福沢諭吉は指摘していました。政府に頼らなくても、学術を深めたり豊かに生活したりできるはずなのに、多くの近代知識人はそれが出来ないと思い込んでいるのがまずい、という指摘でした。たしかに近代でも、牧野富太郎博士とか、宮沢賢治や、与謝野晶子が、独立して学問を深めていたように思えます。
 今回はとくに、数十年後という近未来の不都合について論じようとしていて、これが日本近代史における負の年表と見比べると、福沢諭吉が憂慮していることと、近代日本の問題が適合しているところが多く、読んでいて呻る箇所がいくつもありました。
 あと、愚かにならないためには芸や能力を個別にみがいて、他人に媚びなくても豊かに生きられるように学びましょうということを前回と今回で書いていました。
 作中で「○○なかるべからず」というのは直訳すると「○○無いことはぜったい無い」という感じで「○○しなくてはならない」という意味です。現代ではほとんど使われない二重否定の言葉です。「飲食なかるべからず」というのは「飲食しないといけません」という意味です。
 

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 賢い人も集団の中に入ると、恥を忘れて愚かになってしまう近代日本の問題点も指摘していました。権力者は、ごまかしを用いながら、人々が賢くなるのを待つものだが、権力者と人々は過去にあった負の仕組みに囚われていて、両者の溝はなかなか埋まらない、というのはなんだかすごい指摘に思いました。