今日は、中井正一の「機構への挑戦」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
これは第二次大戦後すぐに、あたらしく図書館をつくってゆこうということで、米国からの協力も受けつつ、もっとも必要とされている本を日本に行き渡らせる仕事をした人々を描きだしたエッセーでした。具体的には、戦後の食糧難と餓死が日本近現代史で最大に過酷だった戦後すぐのころに、農林省が米国の農林技術の本を血眼になって仕入れ、これを現実の飢餓問題に役立てた、そういう事態が描かれています。本を並べて本を貸し出す、というようなことを新しくやり直そう、ということのはずなんですが、もっと根本的に平和における情報戦というのか、人々がどうしても必要な「機構」そのものを構築していった時代を分析したエッセーでした……。
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追記 政治そのものがほんとうに必要とされている時代の、政治のありさまを描きだしていました。中井正一が記す「機構」というものは、そこに「嘔吐を感ずるかもしれない」ものなんです。しかしながらそういった組織が無ければ、人々の暮らしがなり立たないところがある。「一塊の石の理の中にも、敢えて夢のあやを読みとろうとする欲望を捨てない」という最後の一文が印象に残りました。