科学者とあたま 寺田寅彦

 今日は、寺田寅彦の「科学者とあたま」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 物理学者の寺田寅彦が、科学者に必要な性格について語っています。科学者は頭が良いだけじゃなくって、頭の悪さ、みたいなものを持っていないといけない、というはなしで本文にこう書いていました。

  いわゆる頭のいい人は、言わば足の早い旅人のようなものである。人より先に人のまだ行かない所へ行き着くこともできる代わりに、途中の道ばたあるいはちょっとしたわき道にある肝心なものを見落とす恐れがある。頭の悪い人足ののろい人がずっとあとからおくれて来てわけもなくそのだいじな宝物を拾って行く場合がある。
 
 寺田寅彦が科学と言っているとき、それはたいてい自然科学のことを言っているんだなと思って、なんだが得心がいった箇所がありました。寺田寅彦を精読してきた科学者なら、原発のどこに問題があるのかも、事前にわかっていたんだろうなと、思いました。本文こうです。

  頭のよい人は、あまりに多く頭の力を過信する恐れがある。その結果として、自然がわれわれに表示する現象が自分の頭で考えたことと一致しない場合に、「自然のほうが間違っている」かのように考える恐れがある。まさかそれほどでなくても、そういったような傾向になる恐れがある。これでは自然科学は自然の科学でなくなる。一方でまた自分の思ったような結果が出たときに、それが実は思ったとは別の原因のために生じた偶然の結果でありはしないかという可能性を吟味するというだいじな仕事を忘れる恐れがある。
 
 ほかにも「頭のいい人には恋ができない。恋は盲目である。科学者になるには自然を恋人としなければならない。自然はやはりその恋人にのみ真心を打ち明けるものである。」と書いていました。
 

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